【福山市立城南中学校】体育科教員の「1日1配信」が学校の学びに波及。生徒が主体性を持って取り組んだ「スタサプ週間」で学びに向かう姿勢が育つ。

広島県に位置する福山市立城南中学校。 同校では、生徒の家庭学習の習慣化や、一人ひとりの学力層に合わせた学習支援に力を入れていた。 そんな中、一人の体育科教員が始めた「スタディサプリ」の1日1配信をきっかけに、学校全体のICT活用が大きく加速した。 生徒会企画として実施された「スタサプ週間」では、生徒たちが自発的に学び合い、クラスの団結力が高まる成果も生まれたという。 デジタルツールがどのように学級づくりや教員の意識改革に貢献したのか、現場の先生方にお話しをお聞きしました。

「自習ノートをどこまでやればいいのか?」保護者の声から始まった挑戦

同校でのスタディサプリ活用が広がったきっかけは、数年前、当時1年生だった生徒たちに向けて開始した「1人1冊自習ノート」の取り組みだった。

「中学生になれば、自分で考えて自習ノートをやってくるだろうと思っていました。 しかし、保護者の方から『小学校の時から苦労している。どこまで突き詰めて何ページやるのが正解なのか分からない』という相談を受けたのです」

そう語るのは、体育科の中下先生だ。 この相談に対し、当時の教務主任から「1日1つ、スタディサプリの動画を見てまとめることを基準にしてはどうか」とアドバイスを受けた。 そこで中下先生は、スタディサプリを活用した学習をスタートさせた。

「私は体育科なので、5教科の学習進度や内容は分かりません。 でも、学習内容を知っておくことで『今どこを勉強しているの?』と、生徒たちとのコミュニケーションのきっかけになると思いました。 そこで、くじ引きで出題する教科を決めるなど、ゲーム感覚でスタディサプリを活用した学習を始めてみたのが最初のステップです。実際やってみるとクラスの盛り上がりも良く、子どもたちも積極的に取り組んでくれました。」

5教科の専門性がないからこそ、5教科ならではの「教え方」に縛られることなく、純粋な学習ツールとしてフラットに導入できたと中下先生は振り返る。 2年生の後半からは昼学習の時間(15分間)にも活用を広げ、「何を勉強すればいいか分からない」生徒たちの学習サポートとなっていった。 さらに、長期入院を余儀なくされた生徒が、病院のWi-Fiを利用して中学校1年生の最初の数学から学び直すことができるなど、個別の学習保障にも大きな効果を発揮した。

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「書くことに意義がある」からの変化。さらにはスタディサプリでの学習が引き出したクラスの絆

体育科教員の取り組みから徐々に広がっていったICT活用は、やがて学校全体への取り組みに広がっていく。 その1つが、定期テスト前に実施されるようになった「スタサプ週間」だ。

数学科の平盛先生は、当初、デジタル端末を用いた学習に懐疑的だったという。

「私はどちらかというと『数学は紙に書くことに意義がある』という感覚を持っていました。 タブレットだと生徒の画面が見えにくく、集中できないのではないかと敬遠していた部分があったのです」

しかし、「スタサプ週間」が始まると、その認識は大きく覆ることになる。

「生徒たちに『スタートダッシュを切ろう!』と声をかけると、みんなが競い合って取り組み始めました。 ある生徒は『買い物で並んで待っている間にスマホでスタサプをやった』と言い、得意な英語をどんどん進めていました。 なにより驚いたのは、クラスに仲間意識が芽生えたことです。 『やるなら全員でやろう。1人1個でも5個でもいいから、0(ゼロ)はいけんよな』と声をかけると、クラス全体で生徒たちが目標に向かって取り組む姿が見られました」

平盛先生は、単に取り組んだ「数」だけでなく、正答率にも着目した。 「たくさんやった子もすごいけれど、正答率が90%を超える丁寧な取り組みをした子も素晴らしい」と多角的に評価することで、生徒たちのモチベーションをさらに高めた。

「定期テストの結果を見ても、点数が上がったり、内容が難しくなる中でキープできている子が増えました。 私自身がデジタルで学んでこなかったから敬遠していましたが、生徒たちにとってはこれがスタンダードなのだと実感しました。 学力向上だけでなく、学級づくりにも大いに役立っています。 今後は、紙というアナログの良さと、デジタルの良さをうまく両立させていきたいです」と、平盛先生は語る。

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生徒会企画への昇華と「見える化」が推進した学校改革

この「スタサプ週間」を企画・推進したのは、研究主任の的場先生と、教務主任の阪本先生だ。 単なる宿題の押し付けではなく、生徒主体の取り組みにするため、「生徒会企画」としてこの週間を設計した。

「テストの1週間前は『本発表』の期間とし、分からないところを人に聞いたり、先生に質問したりする時間に充てたいと考えました。 そのため、テストの2週間前から1週間前までを『スタサプ週間』とし、まずは基礎固めと『自分の分からないところの学び直し』を行う期間として設計したのです」

期間中は、生徒の完了テスト数を毎日夕方に集計し、先生方へフィードバック。 生徒会主導で考え、頑張りに応じた表彰も行うことで、クラス間の健全な競い合いが生まれた。 また、教務主任の阪本先生が、生徒の学習時間を可視化して校内に掲示したことも、活用推進の大きな原動力となった。

「『みんなこれだけやっているよ』とデータが可視化されたことで、生徒のモチベーションアップはもちろん、他の先生方が『じゃあ自分も配信してみよう』と一歩を踏み出すきっかけにもなりました。 先生方の中にあるハードルを下げる上で、非常に大きな効果がありました」

今後は、スタディサプリを活用して小テストや単元テストをCBT(Computer Based Testing)化し、採点業務の負担軽減や、欠席しがちな生徒への学習機会の提供(同じタイミングでのテスト実施)など、さらなる指導の充実と業務改善を目指したいという。

「テストを作って、印刷して、配って、回収して、採点して返却する……というアナログな作業をデジタルに置き換えることで、教員の業務改善に大きく繋がると感じています。また、集計が容易になるだけでなく、学校を休みがちな生徒やオンラインで繋いでいる生徒に対しても、同じタイミングでテストを実施できたり、その子のペースに合わせて放課後や後日取り組ませたりと、生徒一人ひとりの実情に合わせた柔軟な学習サポートが可能になります。今後は、類題を活用した反復学習なども取り入れながら、さらに学びを深めていきたいです」と、平盛先生は今後の展望を語ってくれた。

最後に、全国で同じようにICTやスタディサプリの活用に悩まれている先生方に向けて、「明日からできる第一歩」としてのアドバイスを伺った。

「難しく考えず、まずはやってみることです! まずは1つ、講義や課題を配信してみる。そうやって一歩を踏み出してしまえば、慣れると意外と簡単なんだということに気づくはずです」

一人の体育科教員による「1日1配信」という小さな一歩から始まった、福山市立城南中学校のスタディサプリ活用。まずは試してみようという先生方の姿勢と、生徒たちの主体性を信じて任せる温かな眼差しが、クラスの絆を深め、学校全体の活気ある学びの土台を創り上げている。同校のさらなる挑戦から、今後も目が離せない。


福山市立城南中学校

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学校教育目標・生徒に身に付けてほしい力
①課題派遣する力(課題を見つける)
②対話する力(コミニュケーション)
③認める態度(人としての思いやり)

 

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