子どもたちの頑張りが学力の向上ひいては非認知能力の向上に寄与。学校授業外での学習支援が子どもたちにおよぼす効果

担当者:田中 瑞希

 株式会社リクルートは、東京都葛飾区から事業委託を受け、オンライン学習サービス『スタディサプリ』を活用した放課後学習教室の運営を実施しています。2023年4月から2024年3月にかけて学習に取り組んだ生徒の学力および非認知能力の変化について報告します。

取組概要

学校外での学習支援の概要

 葛飾区は基礎学力の定着に課題のある中学生を対象に基礎学力の向上を図り高等学校進学や進路選択の幅を広げ、子どもたちが将来、自立した生活を送れるようにすることを目的とした学習支援教室を開催しています。

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学習フロー

 期初テストを実施し、その結果とアンケート結果を踏まえて個別の学習指導計画を作成します。その計画をもとに授業を実施し、授業の最後に宿題をだして家庭学習習慣の定着を目指しました。

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効果検証

学力測定検証方法

 期初と期末に既習範囲の数学・英語のテストを実施して得点を比較しました。

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学習支援の出席率が学力の向上に相関

 期初と期末の得点の差ごとに平均出席率を見ると、期末テストが期初よりも低い又はあまり得点差が無い生徒は、比較的出席率が低くなっていました。

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学力の底上げを実感

 期初と期末の両方にテストを受けた生徒の得点を学力層別に分類すると下位層(C層・D層)が減少しており、学力の底上げがうかがえます。また、全学年の各教科においてA層の増加が見られました。

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非認知能力検証方法

 今後の人生を豊かにするカギになりうる「生き抜く力」「生活力」となる非認知能力を各種実例や研究も踏まえながら下記表通り、8つの力に分類したうえで、各分類についてそれぞれ対応する質問を5ないし6項目ずつ設定することで、全37問のアンケートを作成し、期初と期末に実施しました。

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学力が向上している生徒は学習支援への出席率も高く、非認知能力も向上している

 期初・期末の両方にアンケートを回答した81人の結果を比較したときの得点が10点以上増加・減少している生徒に着目して「テストの伸び」「出席率」「スタディサプリ上での問題取組数」「スタディサプリ上での動画視聴時間」を分析しました。非認知能力アンケ―トの得点が期初に比べて+10点以上であった生徒たちは期初の得点から-10点以上の生徒たちに比べて出席率が高く、問題取組や動画視聴に積極的で学力の伸びも見られました。

 一方で+10点以上の中学3年生の割合は69%、-10点以上の中学3年生の割合は25%と+10点以上の生徒の中には受験勉強を一生懸命していた中学3年生が多く含まれています。

 これらの結果から、学習支援に定期的に通い指導員とコミュニケーションを取りながら一生懸命学習を進めることは、学力の向上に加えて非認知能力の向上にも寄与していることが読み取れます。

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学習支援への参加が学習意欲の向上に寄与し、自宅での家庭学習時間の増加にも繋がる

 期初と期末で自宅での学習時間のアンケートを実施しました。平日・休日ともに1時間以上学習する生徒が増加しており、学習を全くしていない子どもが約5ポイント減少しています。学習支援への参加は指導員とのコミュニケーションや周りの生徒の頑張りを見る事で学習意欲を高め、家庭学習習慣の定着に繋がったと考察できます。

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参加生徒の声(一部抜粋)

・“家に帰ってからも学習や復習をしたいとおもえるようになった”

・“塾や部活などがあり、家での勉強時間の確保があまりできなかったけど、参加してからは勉強時間の確保と塾の勉強も理解できるようになりました”

・“勉強習慣が身に着いたのと、わからないことを丁寧に教えてくれたのでできることが増えました”

・“スタディサプリを使い、家での勉強がしやすくなった” 

 リクルートでは2024年度も引き続きより良い学び体験を生徒の皆さまに届けることが出来るよう継続して努め、取り組んでまいります。

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